行事を通して育つ子どもたち(記H)

長かった雨季がようやっと終わり、季節は秋。先週スール(南風)がゴーゴーと音を立てて吹き、秋を飛び越えて冬になった。火曜日にサンタを出発した時は長袖にカーデガンで調度よかった。ところが、金曜日から季節が夏に逆戻りして半袖になった。
 ヌエバ校とオキナワ校5年生から8年生72名による1泊2日の宿泊学習がヌエバ校を会場にして行われた。オキナワからヌエバまでの道は30Km、乾季になって「ほこりの道」に早替わり。大豆の収穫期にぶつかり大型トラックが一晩中走るので、道を掘り起こしてしまい気をつけて運転しないと穴に落ちてしまう。タクシーでは底を擦ってしまうので四駆でないと行けない。四駆でもバウンドがすごくて片道だけでも疲れてしまう。<車が走った前後に残るのはほこりばかり>

 保護者が10台の車を出してくれてヌエバに無事到着。移住地の保護者は学校に協力的で、日本のようにモンスターペアレントという見当のつかない親はいない。ここには、日本がとうの昔に失ってしまった地域の教育力も残っている。だから、子どもの目がキラキラ光っているのかもしれない。この宿泊学習は、2つの移住地の子どもたちが寝食を共にして仲良くなり友達を作る絶好のチャンスとなっている。
 ウオークラリー、キャンプファイアー、肝試し、各校の出し物などの楽しいプログラムに加えて食事作りが2回ある。学校を越えて、学年を越えて班行動をしながら子どもたちは仲良くなっていく。それは、6つあるどの班も班長がしっかりとリーダーシップを取りながら後輩の面倒を見たり、優しい言葉賭けをしながら先輩として立派に行動しているからだ。これも、日本の子供社会から失われてしまったものの一つだ。
<班は9名から10名で編成されている>

 ウオークラリーのチェックポイントは全部で10箇所。私は体育館前で待ち構え、班の朗読や群読を聞き採点をした。4つの資料の中から子どもたちが相談して、小海永二さんの「いのち」という詩と谷川俊太郎さんの「こわれたすいどう」の詩が選ばれた。班によって、文節に分けて読み手を替えたり、「ピッタン テトン テッタン ピン」という擬音語を群読して感じを表したり、班ごとに工夫が見られ採点に苦労した。ボリビア協会前では「屋根の上のシーサーはどこを向いているのでしょう」という質問や、翁長商店では「おばさんの初恋物語を聞く」という課題があったり、ゲートボール場に行ったら、おじいさんやおばあさんに「お孫さんに一言を聞く、最近の楽しみは何か聞く」などという地域の方々と自然にコミュニケーションが取れるように仕組んだものが数多くあった。地域の人たちに関心を持たせよう、会話をさせようという先生方の意図が感じられたウオークラリーだった。
<十字路の所では、各自が小石を一つ拾い300gにするという課題も楽しめました>

 夕食のメニューはカレーとフルーツポンチ。最後にカレーコンテストがあるので、生徒達は真剣に「隠し味は何にしようか」と相談し合って、りんごをすり下ろしたり牛乳を入れたりしていた。肉は牛・豚・鳥の3種類で、カレルーは甘口・中辛・辛口の3種類をくじ引きで決めた。最後に、全職員が投票して優勝が決まりました。なんとWさんがいる3班が一番美味しいカレーを作ったのです。賞状渡しの時に、班長が「W先生のアドバイスがあったので優勝できました。」と言ったのでびっくりしました。いつもの砂糖とバターの隠し味だなと思いました。Wさん、子ども達のお手伝いができてよかったね。<火熾しは男子の役目>

 火の女神様の点火により「友情・健康・愛・勤勉・正義・平和」の火を各班長が分けてもらい、お父さん達が積み上げてくれた薪に点火しました。星空の下で赤々と燃える火を見ながら、大人もロマンチックになりました。でも、両校の出し物が披露された時には、静寂がすぐに笑いの渦となりました。ヌエバは空手と胴着の上にゆかたを着た女子によるボンボンを持ったチアーガールの踊り、最後はその女子達にやられてしまう男子達。子どもの世界も女性上位なのでしょうか。オキナワ校の出し物も男子がやられてしまう劇でした。教師がノータッチでも自由に発想して面白く見ごたえの劇を作れた子どもたちに感心しました。<「関係ない、関係ない」日本のTVの影響でしょうか?>

 「5分前行動を心がけよう」としおりに謳ってあった様に子どもたちが行動でき、落伍者が一人も出なかったのは嬉しいことでした。計画から準備そして本番に至るまでの両校の先生方のご苦労に心から感謝してサンタへ帰りました。
<燃えろよ燃えろ>