不安定なボリビア(記H)

 一時帰国から帰る途中、サンパウロ発16:00のボリビアの飛行機アエロスールが1時間遅れました。たった、1時間45分の飛行ですので、我慢できましたが、いよいよボリビアに向かっていることを実感しました。この国では、1時間や2時間の遅れは当たり前、イライラする方が損をしてしまします。ここは南米、ラテンの国とあきらめて、その浮いた時間をどのように使うか考えておかなければなりません。
久しぶりに戻ったボリビアで、現在、大変なことが3つあります。まず、物価の値上がりです。ガソリンやジーゼル等の燃料に加えて食料品の不足と、それに伴う物価の上昇です。例えば、先週10個4ボリだった卵が今週は5ボリに、1kg5〜6.5ボリだった米が10ボリになってしまいました。
 ガスやジーゼルなどはこの国にあるのにも関わらず、政府の役人がブラジルへ横流しして大もうけをしているそうです。どのガソリンスタンドにも、いつ届くか分からない燃料を求めて、長い長い車の列ができています。
<暑い中、運転手さんは車の中でじっと我慢>
 もちろん、給油を待っているのですが、スタンドは空ですのでタンクローリー車が来ないと給油できないのです。もちろんそれも何時来るか誰にも分からないのです。

肉屋さんや八百屋さんなど生鮮食品を扱う方達は、流通が停滞している影響をもろ受けています。サンタでは品不足になってきた商品がありますが、近郊の町々ではサンタから運ばれる荷物がトラック不足に比例して極端に少なくなっている上、価格の高騰を招いているようです。田舎に暮らすほうが大変ということです。
 先日、肉屋さんの組合が、この状況に抗議してスト(PARO)を打ちました。同じ日に、バスやタクシーの組合がストをしたため、学校は休校になりました。この様に、市民への影響は計り知れないものがありますが、どの人も彼らに同情的です。そして、政府に対して「どうにかして欲しい」という不満が高まっています。
 <人っ子一人通らない静かな町>

 もう一つボリビアでよくあることは道路封鎖(BLOQUEO)です。日本では、決してお目にかかれませんが、ここボリビアでは毎日、どこかで行われていると言われています。予め、「何日の何時から実施する」と通告してやる場合と、何の知らせもなくやる場合があります。
 先週15日にサンファンへ卒業式に参列するため出掛けましたら、なんと、あとサンファンまで12kmという地点で、この道路封鎖に遭ってしまいました。太い丸太が倒れていて、数十名の人垣が出来ていました。大声で言い争っている様子ではなく、静かに話し合っている感じがしました。でも、興奮したら何をされるか分からないのでJICAからは「ブロッケオに近付くな」と言われています。
 タクシーの運転手が気を利かせてくれ、「ここで降りて、向こう側にあるタクシーに乗り換えて下さい」と言われました。運転手さんは沢山の荷物を持って、私達をエスコートしてくれました。反対側で乗ったタクシーには、次から次へ客が乗り込み、とうとう大人6名に子ども2名で走り始めました。ギューギュー詰めのタクシーも日本では味わえないもので、現地の方達と楽しく会話しながら目的地へ運んでもらいました。どうも、こちらのタクシーには人数制限がないようです。
 聞く所によりますと、そのブロッケオはサンタフェの一部の住人達が「自分達にサンファンの土地をくれ」と不当な要求をサンタクルス県の副知事に抗議していたようです。本来は、彼らの不当な要求は呑めないはずですが、「市役所で話し合おう」と一応その場は収まったようです。そして、午後にはブロッケオが解除されたそうです。やれやれ。
<こわごわ通りました>