若者よ大志をいだけ(H記)

 2004年3月31日に32年間勤めた教職の道を退き、ただ普通のおばさんになろうと決めた時に思い浮かんだ言葉が一つありました。それは、40代後半になってから日本画を志し89歳の生涯を閉じるまで、日本全国を歩いて自然に親しみ独自の境地を築いた富岡鉄斎氏の言った「万里の道を行き、万巻の書を読む」の名言でした。氏の絵を好むか好まないかは別としても、氏の高邁な理想は私のような凡人が追ってしかるべき道と思ったのです。
 もともと旅行は大好きでしたし、多忙な仕事の合間を縫っては一人旅、家族旅行、友人と共になど旅行先を変えながら楽しんできました。これからはボリビアはもとより、南米を制覇したいと考えています。読書は量ではWさんに負けています。だって私が食事の準備をしている時間、私が掃除をしている時間、私が洗濯をしている時間、私が銀行からお金を引きおろしている(もう、積むことはありません。)時間、Wさんは読書に没頭できるのですから。でも、Wさんはボリビアではメイドをしてくれると言っていますので、私のほうが優位な立場に立てるかもしれません。
 鉄斎の言葉に刺激され、退職後始めたことの一つに大学の聴講生になって好きな勉強をしてみるということがありました。
共愛学園前橋国際大学では御手洗章教授の「発展途上国事情」と野村誠助教授の「キリスト教と諸宗教」を、県立女子大学では新井小枝子講師の「日本語概論」を聴講しました。実は、御手洗教授は36年間JICAの職員であったそうです。何も知らずに先生の講座を受講したことはラッキーでした。現在130カ国を上回る発展途上国の中からインド・韓国・中国・イラクベトナムについて学ぶことができましたし、シニアボランティアの活躍ぶりの映像も写してくださいました。実は、御手洗先生から頼まれて5月18日に1,2年生対象の「発展国事情」と3,4年生対象の「国際協力」の2コマで話をする機会を与えられました。どちらも、80名くらいの学生さんが相手というので尻ごみしたものの、なかなか無いチャンスと捉えお引き受けしまた。
 「今なぜボランティアか」というテーマでOHCで写真や資料を提示しながら、シニアボランティアに応募した経緯や自分の生き方について45分間お話しました。先日、御手洗先生から学生の感想文を送っていただきましたので、3年生女子Kさんのものを原文のまま載せてみましょう。今どきの若者もどうして捨てたものじゃあありませんね。

              3年・Kさんの感想文
 今回、大変貴重な話を聞くことができてよかったです。自分のしたいことを生き生きと取り組んでいる人は本当に輝いてみえます。そして、とっても若く見えました。シニア世代になっても、夢を実現しようと努力しそれを叶えられたのはとても素晴らしいと思います。語学というのは努力してもなかなか身に付けられるものではないし、JICAの試験もとても難しいということを改めて知りました。
 環境が違うし、言葉も違うし、その中で日本語の教師をしていくということで大変だとは思いますが、ぜひとも頑張っていただきたいと思います。いくつになっても自分の自己実現を追い求める精神やチャレンジする精神を私もぜひ見習いたいと思いました。
 世界で困っている人を救いたい手助けしたいという気持ちはボランティアの精神が無ければ絶対に出来ないことでしょう。人のために何かをするというのはとても素敵だと思います。「世界中に多くの友達をつくって下さい」という言葉が心に残りました。私も留学に行き外国の友人ができました。友達というのはかけがえのない財産だと思います。だから、これからも多くの友達をつくりたいです。

妙義山図>