ラパス市内観光とフォルクローレの夕べ(記HA)

12月31日 ラパス市内観光とフォルクローレの夕べ
 ウユニからの夜行バスがなんとか走ってくれて、車中から明るくなった朝の風景を見ていると、ラパスの空港のあるエル・アルトの辺りで渋滞になりました。この広いボリビアでも渋滞があるとは、車のあるところはどこも同じなのだなと感じてしまいました。
 エル・アルトからラパス市街への道は、ラパスの街の風景の中で一番素晴らしいのではないかと思います。ラパスは高低差の激しい街で、空港があるエル・アルトは約4030m、高級住宅街のあるカラコト地区を抜けて最も低いところは3000mと、ひとつの街で1kmも標高が違います。そのため政府の要人やお金持ちは暖かい標高の低いところに住んでいるそうで、高級住宅街といえば丘の上という常識とは反対になっています。さらにラパスの市街地の地形はすり鉢状になっており、エル・アルトから螺旋を描くように道が下っていくので、斜面にびっしりと貼り付いた黄土色の屋根の連なりを臨むその景色は圧巻です。地図上ではこの斜面の感覚が全くないため、29日に初めてラパスへ着いた時には随分驚かされました。
<ラパス全景>

 ラパスで無事にバスを降りたあとはホテルへ直行し、ひとまず休憩。疲れがとれるようにとHさんが5つ星ホテルにしてくれたので、とても快適でした。ただ、お風呂に入りたくとも高山病の危険のためシャワーのみでしたので、すっきりしても疲れは残ったままでした。
 午後は市内観光に行きました。日本語のガイドアナウンスもあるという市内観光バスが走っており、2階建てなので2階の方が眺めが良いとの情報があったのですが、着いた時には2階は満席状態で、仕方なく1階から市内を見学しました。日本語のガイドは、車掌のようにバスの後部に座った女性が手動操作しているらしく、通り過ぎてしまってから説明が始まったり、同じものを繰り返したりと微笑ましかったです。
<ラパス市内>

 バスがまず向かったのはメインストリートのような道路で、ティワナク遺跡の石を使って作られたというサン・フランシスコ寺院や大学、大きなムリリョ広場や小さい公園がありました。ティワナク遺跡のレプリカもありました。公園や広場には必ずといっていいほど銅像が立っており、そのモデルはボリビア建国に携わった人物など多様です。大通りを過ぎて今度は市場なのか人がごった返している所へ入って行くと、路地に露店がたくさん並んでおり、年末だからか車が通れないほど の賑わいでした。2階建てバスが珍しいのか、道行く人や歩道に座っているボリビア人に逆にものめずらしそうに眺められているのが1階からよく見えました。
 次にあちらこちらと通りを抜けて、小高い丘の上でバスを降りて10分ほど休憩しました。この丘からは標高の低いカラコト地区やサン・ミゲル地区から、エル・アルトへ続く道まで360度一望できます。その後バスはサッカー場や遊園地のような遊び場、近代的な建物などが並ぶおしゃれな地区を通り、ひとまず終了しました。
 余談ですが、ボリビアのサッカーチームが南米でも強かった時期があったとガイドがあったので、後日その話をボリビアに長く住む日本人の方にしたところ、ラパスという標高の高い土地で試合をすれば他の国から来た選手はほとんど高山病に悩まされプレーできなくなるからだという裏話を教えてくださいました。今では標高の制限があるらしいので、ラパスで試合があることはないそうです。念のため。
<ラパスのメインスタジアム>

 同じバスで、20分ほど待つと次のコースが始まります。高級住宅街のサン・ミゲル地区やカラコト地区を通り、月の谷というところで折り返すコースです。月の谷はその名の通り月面にそっくりな場所ということで期待して行ったのですが、見るには入場料を払って入らなければならないらしく、軽い高山病と疲れで歩く元気のなかった私たちはバスの周辺をうろうろしただけでした。それでも乾いた岩肌が林立する荒涼とした風景は、はずれとはいえボリビアの首都にいるとは思えない景色でした。
<月の谷>

 帰りは2階にいた観光客が1階へ降りて来ていたので、Tさんとバスの2階へ行きました。ゆったり見れるのかと思っていたら、半分屋根がなく、電線やら並木の枝やら障害物がたくさんあって、思いがけずスリリングな体験となりました。
 夜は以前ブログにも登場したフォルクローレグループANATAの秋元さんの計らいで、ANATAの演奏をレストランで食事をしながら鑑賞しました。驚いたことにこの夜の演奏は私たちのためだけに開かれたもので、12畳ほどの長方形の小部屋の片隅に4人分のテーブルが用意されているだけで、近距離というより目の前で演奏を楽しむことができました。サンポーニャの力強い響きやケーナの繊細なメロディー、秋元さんの歌声、どれも印象深い思い出です。
<ANATAのメンバーと記念撮影>

ボリビアの踊り>

 フォルクローレは曲と踊りが一組になっているものらしく、途中から踊りのグループも加わって、様々な地域の踊りときらびやかな衣装もたっぷり堪能させてもらいました。初めは高山病になるからと遠慮がちに聴いていた私たちですが、Tさんが我慢しきれなくなり踊りに参加したことで、Wさんをのぞく3人は見よう見まねで一緒に踊ってしまいました。皆さん大晦日なのにありがとうございました。
<踊りに参加>

 帰りはホテルが近かったので歩いたのですが、ふと振り返ると見上げる夜景がそこにありました。上から見下ろす夜景ではなく下から見上げる夜景、これもラパスの見所のひとつではないかと思いました。
<ホテルからの夜景>