「プールが一番」(記H)

 ボリビアへ来てから、すぐに50肩、いえ60肩になった。ある日突然、左腕が上がらなくなり、背中のジッパーが出来なくなった。幸い、右腕でなかったので料理や洗濯などの家事は支障なくこなしてきたが何かと不便であった。
 1ヶ月くらいして、次第に痛みが我慢できなくなってきたので、JICAの顧問医であるNドクトルを訪ねた。N先生は、外科が専門であるが、内科でも皮膚科でも何でも見てくださる。私たち日本人や日系人には赤ひげ先生のような存在の人である。24時間どんな時にでも対応して下さり親切を絵に描いたような方である。ちなみに、私が家庭用洗剤で手がボロボロになった時にも、すぐに軟膏を処方してくださり、1週間たたずにきれいに直ったし、知人が蜘蛛膜下出血で倒れた時にも、N先生の適切な見立てとサンタクルス一の脳外科を紹介していただいたお蔭で一命を取り留めたことがある。
 私は、N先生より女性の医学療法士を紹介していただき、10日間電気治療とリハビリ運動により80%がた腕が上がるようになった。でも、サンタには月の半分しかいないため、継続しての治療は続けられなかった。そのためか、またまた腕が痛むようになり、鍼や指圧にもかかってみたが思わしい結果が得られなかった。
 ゴルフへ行くWさんが「ゴルフ場にプールがあるよ。」と教えてくれたが、南国の強い陽射しの下では泳ぐ気になれなかった。ボリビアに来てから1年、すっかり日焼けしてお百姓さんのような顔と手足になっている。日本へ帰ったら、美白に力を入れなければ・・・・。サンタには温水プールはないだろうと半分あきらめかけていたが、秘書のモニカさんに聞いてみた。「2箇所あります」との調査結果に基づいて「SAMIX」という我が家から近い方へ通うことにした。
<ゴミが底にあり、木の葉や虫の死骸が浮いているプール>

 月〜金の平日、午前7:00から13:00、1回20Bs(300円)で好きなだけ泳げるプールだ。25mコースが5コースあり、いつも、大変すいている。午後からの会員の会費でやっていけるのか少々心配している。
<20年の歴史があるスイミングクラブには、カップがいっぱい>

 私は、50の手習いとして53才になってから泳ぎを習った。小学校の時に、浮き輪で泳いでいたら近所の悪がきに空気を抜かれ、おぼれそうになった体験がトラウマになって、「一生泳ぎはすまい」と思ったものだ。高校の体育で「水泳」が必須であったが、どんな悪い点でも良いと覚悟して水泳だけはしなかった。
 そんな私が突然プールへ通い始めた理由は、老後自分一人でいつでも好きな時にできるスポーツと考えたからだ。マスターするまでに長い時間がかかったが、幸い、クロール、背泳ぎ、平泳ぎの3種目が泳げるようになった。
<窓というより、壁が切られているだけで冬は寒い>

 日本で練習した泳ぎを思い出しながら、各種目50mずつ5本泳ぐようにしている。おかげで、いつの間にか腕の痛みが遠のき腕も上がるようになって、「プールが一番」と思っている。
<オリンピックに出場した選手もいる>

<2階には、小規模ながらジムもある>