教会めぐり 1日目8月4日(土)(記H)

 土・日に続く2日間の連休(8月6日は独立記念日)を利用して、A青年と3人でサンタ県の東北地方にある「教会群めぐり」に出掛けた。1691年から1767年までイエズス会の宣教師たちが布教していた歴史的なスポットである。
 庶民の足である長距離バス(FLOTA)に乗って4時間、サンタから221Kmのサン・ハビエル(SAN JAVIER)に到着。ボリビアがスペインの植民地になって(1532年)から、宣教師たちは先住民が住む地域にカトリックの伝道村をつくり、後に現在の市町村へと発展したらしい。
教会の壁には茶、こげ茶、黒色で模様が描かれ、木の柱は直径50Cmくらいで、らせん模様に彫刻されていた。屋根がわらはオレンジで当時のものではないかもしれないが、コケむしていた。日曜日でなかったので、内部の見学はできなかったが、教会の周辺には静寂がただよい聖域であることを感じさせた。
<1641年創建のサンハビエル教会>

 Wさんが現地の男性から声を掛けられ町を案内してもらうことになった。Aさんは「この人は私たちを変な所へ連れて行くのではないか?」「後で、法外なガイド料を請求してくるのではないか?」としきりに心配していた。そう、ここはボリビア、JICA関係者にとっては世界一犯罪率の高い国。特に女性一人でこの国で生活していくには、このくらいの慎重さが求められるのかもしれない。
 幸い、コンピュータ教師というこの人は、町を見学を案内して下さったうえ、ミクロに乗るところまでお世話して下さり大変親切だった。最初に私たちを大きな岩山へ案内してくれ、町で一番展望の良いMirador から次に行く町Conception 方面を眺めることが出来た。
<縦横大きな岩がゴロゴロ>

 そして、高さ4,5mもある岩壁を利用して建てられた画廊にも足を運んだ。JUANさんという彫刻家は鉄くずで縦2m、横3mもある巨大な「牛」を製作され戸外に展示してあった。おしゃれな画廊に入って驚いたことには、尺八の音色が流れていて「筧」が置かれていた。お聞きしたら、前の奥様が日本人(元JICAボランティア)で、日本とイサム・ノグチが大好きとのこと。日本へは4回行ったことがあり、日本食が大好きと言っていた。改めて「世間は狭い」ことを実感した。
<巨大な鉄くず製のバカ(牛)>

<おしゃれな美術館内部で記念撮影>

 次の町コンセプシオンへはミクロ(マイクロバス)で移動。夕方6時に到着後、すぐに次の日のフロータのチケットを買う。ホテルに荷物を置いてから手工芸のみやげ物屋(Arutesania)をのぞき、8時30分開始予定のコンサート会場へ急いだ。この時期には世界遺産に登録された6つの教会でバロック音楽のコンサートがあるというので、音楽好きな私は是非訪問してみたかった。ヨーロッパの教会の様に石造りではなく、木造の内部は決して響きが良いとはいえなかったが、心のこもった温かい雰囲気が伝わる音楽祭だった。2部構成で1部は中学生と高校生30名編成による弦楽合奏と合唱だった。その演奏は決して上手とは言えなかったが、子どもたち一人ひとりがそれぞれに最高の音色を追求している姿は、素直で清々しく聞き手に感動を与え、彼らのこれからの成長に期待を持たせてくれた。
<中学生と高校生の演奏 ソプラノのソロが良い声でした。>

 第2部はプロによる演奏で、バイオリン、ビオラ、チェロによる弦楽合奏。素人の演奏直後で聞いたということばかりでなく日本を立ってから初めての上手いクラシックに出会えて、嬉しくなった。曲目はバロックだけでなく、タンゴ「エルチョクロ」やピアソラの曲もあり楽しいものだった。
<第一バイオリンは、パールマンに迫る演奏でした>