ボリビアワインの産地 タリハ(記W)

 先日、サンタ校のF先生から服部真澄著の「エル・ドラド」という小説を借りて上巻を読み終えた。ボリビアを舞台にした、遺伝子組み換えの葡萄をめぐる物語である。この中でも、タリハのワインの話が出てくる。
 そのタリハのワイナリー(Las BODEGAS)の見学に出かけた。タリハの町から、タクシーを借りきり往復3時間ほどの旅であった。(タクシー代 85BS 約1300円)
 最初に行ったワイナリーは、「Bodega Rujero社」で「La Concepcon」という銘柄の工場だった。畑の中にある小さな工場でワインよりも、シンガ二(地元産の葡萄の蒸留酒)の生産のほうが多いとのこと。残念ながら、時季外れのためか、機械は稼動しておらず案内嬢?について歩いただけ。実験室のような部屋で、ワインとシンガニの試飲をして2本購入した。
<Bodega Rujeroの工場>
 内部撮影は禁止のため、外観のみ

 次に、「Casa Vieja」という手作りワインのワイナリーに行く。ここでは、葡萄をつぶすのに長靴を履いて足で潰す昔ながらの製法らしい。裏庭の葡萄畑を見に行って気になったことは、2人のおばさんが沢山の洗剤を使用してビンを洗っていたことだ。その泡を水道水で流すのではなく、溜めた水の中でちょっと漬すだけ。その洗い方のせいか、赤も白もちょっとひなびた臭いがする。でも、濃くのあるワインで甘みが強く葡萄酒というより果実酒に近い。ここのワインはサンタでは買えないので勿論買って帰った。ここでは何種類ものワインを試飲したためちょっと酔ってしまった。
<葡萄をつぶす樽 この中に長靴がおいてあった。>

<裏の畑に実る葡萄>

 他にも、大きなワイナリーが二つほどあるということで行ってみたが、CENAVITというワインの研究所とKOHLBERGという有名なワイナリーはコマドレの祭りの日だったために、工場は休みで見学する事はできなかった。
 ボリビア国産のワインはとにかく安い。1本250円くらいでテーブルワインとしては十分飲み応えのあるものが手に入る。90年代半ばから少しずつポピュラーになり始め、味も上がってきているそうだ。半分以上はチリに輸出されて、チリワインとブレンドして国際マーケットに出て行くらしい。
 翌日は、タリハの市内見学と、50km離れた隣町「サン・ロレンソ」に行く。
 最初に町の中心街にある博物館に行く。この近くで発掘された恐竜の化石が沢山展示されている。結構見ごたえのする化石があった。入場料がタダなのもいい。
<化石の説明を受ける。>
 数年前に日本の考古学者も発掘に協力したらしい。

 タリハ名物のサイセというチョピリ辛い挽き肉と豆をごはんにかけた一皿料理(モコチンチンという杏のジュース付きでたったの5Bs)で早めの昼食をとり、ミクロで隣町「サン・ロレンソ」に行く。50Kmほど離れている町まで、約30分でバスは進み、料金はたったの2.5BS(約40円)という安さだ。
<サイセ専門店なのでこの料理だけ>

 サン・ロレンソの町には、これと言って見所はないが2,3紹介しておく。
ボリビアは近隣諸国(チリ、ブラジル、パラグァイ)と国境紛争があった。どの国にも負けてしまい120年前までは海に抜けられたのに、現在は5カ国に囲まれた内国となっている。チャコ戦争というのはパラグァイと地下資源を取り合い、結果はボリビアの負けになった。その時の英雄モトメンデスの家が現在は博物館になっている。彼が戦いに使ったサーベルや軍服が展示され、40cmくらいの幅の狭い階段を登った2階には粗末な木製のベッドと箱が置かれていただけ。そこは、唯一の町の見所でアルゼンチンからの観光客も見学にやって来ていた。
 <博物館前にて>
 アルゼンチンから、バイクでカルナバル見学に来ていたライダーと記念撮影。

<スズキやカワサキのバイクを自慢してくれました。>

 博物館のベランダから外を眺めたら川が氾濫しているではありませんか。すわ、大水かと思って博物館を飛び出しました。そしたら、川には草がぼうぼうに生えていて、単なる水はけが悪かっただけでした。人間のみ向こうに見える橋を渡ります、ですからどの車も水の中をバシャバシャと渡っているのです。

 サン・ロレンソからの帰り道にカニを食べさせる食堂があると案内書にあったので寄りたかったのですが、3人中2人が「ザリガニのようなもので、美味しくないよ」と言ったのでタリハまで直行しました。
 女性陣はおみやげを買いにTAJZARAへ。それぞれにアルパカのポンチョやセーターそしてリャマの織物を買っていました。
 夕食がヒットでした。寒い寒いタリハにはお勧め一品です。セントロの角にあるBUFALOのフォンデュセットはたったの40BSで3人が十分味わえます。そのうえ、タリハがアルゼンチンに近いためか本当に軟らかい肉の一皿とアスパラ、やし、トマト、キュウリの酢漬け等の野菜の一皿にどっさりのフライド・ポテトです。フーフー言いながら冷えた体をフォンデュとワインで温めた夜でした。