蚊に刺されながらアイススケート・ショー見学(記H)

 「日中は30℃を越えるサンタで、アイススケートがあるの?」私が新聞広告を目にしたときのおどろきでした。その新聞には「ロシアのアイススケート・ショー、たったの4日間、13、14日は完売」とありました。
 16日(日)は、日本語教師の研修会で講話をすることになっていた私にとって、一番忙しい時でもありました。ですから、研修後に行こうと決めて、16日夜公演の切符を買いました。75Bs(1、125円)〜500Bs(7、500円)の幅でチケットが売られていたので150Bs下から2番目を買いました。会場はSONILUMという体育館の中に10m×14mくらいのリンクを設え、一番高い500Bsの席の客は顎を上に上げないと見えないセッティングでした。私が買った席は、ベンチ席で、横からの眺めでしたが真近に見えて思いの外良い席でした。
<華麗なダンスの数々>

 午後5時開演予定でしたが、時間通りには何事も始まらないボリビアでのこと、客が拍手を始めてからようやっと、20分遅れで幕が開きました。この国では上出来だったと思います。1部はチャイコフスキーの「くるみ割り人形」でした。赤、青、黄色など原色一色のボリビア人の色感覚と違い、その衣装の見事さにまず感激。色だけでなく、デザインの優秀さにロシアのバレー衣装の伝統を感じました。
<歴史を感じさせるロシアのバレー>

 踊りは華麗で観客を飽きさせない演出でした。主人公クララの可愛らしさ、王子のスピード感あふれる見事な踊り。バレーと違って3回転高くジャンプしたり、デュエットでは男性が女性を氷上すれすれに回転させたりフィギャースケートの魅力がいっぱい織り込まれていました。おもちゃの兵隊の行進曲では、体格が揃った踊り子が、一糸乱れず足を上げたり回転したりするのです。小さいころから相当なロシアの踊りでは、コサックダンスをスケート靴をはいて踊るのです。目にも留まらぬ速さで足を伸ばしたり引っ込めたり、大変危険を伴う踊りだと思いますが、4人の男性踊り子はニコニコ顔で余裕を見せながら踊りきりました。アラビアの踊りでは、薄い衣装を身にまとった踊り子を高く高く持ち上げてクルクル回転させながら、流れるように滑った男性踊り子に拍手が鳴り止みませんでした。
<跳躍とスピード感あふれる踊り>

 2部は小さい舞曲が10曲ほど踊られました。ボールを扱ったり、三角錐や立体の大きな枠を持ちながら踊るモダンバレー的な曲が中心でしたが、中には、白鳥の湖から「四羽の白鳥たちの踊り」があり、軽快な曲に合わせて4人が跳ねるように踊り、心を和ませてくれました。やはり、なじみの曲とか踊りだとこちらも自然に体を揺すりながら踊り子と一体になれます。音楽は生演奏でなくCDでしたが、なによりも、チャイコフスキーの偉大さを改めて感じた夜になりました。100年以上前に書かれた曲とは思えないほど素晴らしい音楽で私を感動させてくれるチャイコフスキーの曲。音楽の魅力、芸術の偉大さを感じさせてくれる彼の音楽を聞き、日本へ帰ったら真っ先にコンサートに行こうと決めた夜でもありました。
<幻想的な世界へ誘ってくれた美しい白鳥>

<2部は氷が溶けて水しぶきが飛んでいました>