光陰矢のごとし(記H)

 私が敬愛する画家のひとりに東山魁夷先生がいます。平成11年90才でお亡くなりになった魁夷先生の作品の中でも、とりわけ、この写真の「道」が好きです。まん中に一筋の道が長く続き、それは行きあたりで、少し低くなってから右に曲り、また登り気味のまま視野の外に消えます。 
<ところどころにデコボコのある道>

 4年前に32年間の教職の道を退いた時、自分はこの絵の道を登りつめた場所に立っていることを実感しました。そして、右に曲がった道は、高崎市の教育研究所で後輩の指導をする傍ら、2つの大学で日本語概論や世界の宗教などについて聴講した時にあたります。そしてまた、JICAボランティアのことを調べた折、日本語教育を受験するには420時間の資格保持者か日本語教育能力検定合格者でないダメであると知り、あわてて東京にある日本語専門学校に通った時にあたります。その後、ボランティアとして新しい道を歩き始め、今任期の2年が終わろうとしています。
 魁夷先生は、この作品について「この作品の象徴する世界は、私にとって遍歴の果てでもあり、また新しい道でもあります。それは絶望と希望の織り交ぜられたものでありました。」と解説しています。現在、この「道」の右上に立っている自分は、これから更に新しい希望の道を歩んで行きたいと願っています。
<緑いっぱいのサンタクルス
  
 配属先である日系協会連合会関係者15名が開いてくださった送別会の席上、会長さんが「2年間よくぞご無事で。いままでの指導教師でケガをされた人や交通事故に遭った方がいたので、心配していました。でも、お二人は強盗や引ったくりなどの被害にも遭わずによかったですね。」と挨拶されました。その通りです。JICA事務所からは、頻繁に被害事件の詳細が知らされ注意喚起を促されました。先週は、携帯電話を路上でかけていて引ったくられるという事件に注意するようメールが届きました。こんなボリビアですが、私達は何も恐ろしい思いをすることなく、楽しい思い出を胸一杯抱えて26日サンタVirVir 空港を出発します。長い間、私達の拙いブログにお付き合い頂き心より感謝申し上げます。ありがとうございました。