東北の祭り②西馬音内盆踊り

およそ700年前に始まったとされる西馬音内盆踊り。母から子へと受け継がれてきた端縫の衣装をまとい編み笠をかぶって踊る女性たち。手拍子なんて一切なく優雅で流れるよう静かに手と足が運ばれます。
仏教伝来の「勧化(かんげ)」現世の悲運を悼み、来世の幸運を願う「願生化生(がんしょうけしょう)」の踊りがつまって「願化踊り」と呼ばれたそうです。ですから、娯楽の踊りでなく盆踊り本来の意味を持っている踊りなのです。

ひこさ頭巾という黒い覆面をして藍染の衣装で踊る人もいます。この頭巾は亡者を連想させ、幻想的な感じです。歌舞伎の黒子(くろこ)からヒントを得たという説があるそうです。この踊りは男性、女性どちらでも踊れます。

お囃子は会場の中央に設けられた特設櫓の上で、笛、太鼓、小太鼓、三味線、鼓、すりがねで演奏されます。唄い手は地口と甚句を方言で唄います。「おまえ100まで、わしゃ99まで」と理解できたものもありますが、そうでないものもあり、素朴なメロディーを口ずさみながら聞いていました。

7:30から始まった踊りは11:30に終了しフィナーレを迎えました。踊り手全員が編み笠やひこさ頭巾を脱いでお囃子の方たちに感謝の拍手を送ります。それに答えてお囃子が盛り上がります。3回拍手に答えて盆踊りは12時に幕となりました。

藤原家に戻っても興奮冷めやらぬ客が「よかった」「素晴らしかった」と話しているところへ、御嬢さんが戻ってきました。彼女は幼稚園の時から踊っているそうで手のシナが上手いけれど、お母様は嫁いでから習ったので上手くない由。みんなのリクエストに答えてお嬢さんが踊ってくれました。
山形からの客は3日間滞在していて「今日が一番良かった」と話していました。